Rio(りお)とは、デジタルオーディオプレーヤーブランドの名称である。北米・ヨーロッパ・アジア地域を中心とした携帯オーディオ市場で、1998年から2005年の約7年間販売されていた。
概要
1998年9月、アメリカのダイアモンド・マルチメディア・システムズ社(後に2000年・ソニックブルーに社名変更)が世界初のmp3プレイヤー、MPMan F10の開発元である韓国のDigitalCast社を買収。これによりMPMan F10の次期モデルとして発表していた「PMP300」がダイアモンド・マルチメディア・システムズ社より発売された。発売目前にアメリカレコード産業協会(RIAA)から販売差し止めの提訴を受けるも勝訴を勝ち取るという紆余曲折を経ての発売であった。手軽に曲の選曲・頭出し機能などの操作性の充実、MP3規格の普及と共に従来の携帯プレーヤーの市場に食い込む人気・シェアを取っていった。
1999年6月24日、ダイアモンド・マルチメディア・システムズからRio Portを分社化し、音楽配信事業を開始。Rio 500以降はRio Port社からの発売となる。
2000年11月にはイギリスのen:Empeg社を買収。これにより同社の製品の販売権の獲得及びHDDベースのプレイヤーの技術を取得。
2001年2月、Sensory Science社(旧GoVideo社)買収。かつてGoVideoのRave-MPシリーズの開発をしていたスタッフがRio600から開発に参加する。
2002年10月16日、米Ecast社とRio Port社が合併。社名はEcastを引き続き使うことになった。以降の製品は再びソニックブルーからの発売となる。
2003年3月にアメリカのソニックブルー社が倒産。その後日本の株式会社ディーアンドエムホールディングスが、MP3プレーヤーRioブランド事業・HDDレコーダー事業を4,000万ドルで買収し、販売を継承していた。(GoVideo事業はOpta Systemsに売却。その後、MP3プレイヤーの開発スタッフは後にSIRENを設立。)
2003年11月にポータブルオーディオプレーヤーでは世界初のFLACに対応したRio Karmaが発売。Vorbisファイル対応やギャップレス再生対応、イーサネット接続が可能であったり、ライン出力も可能で、Linuxにも対応していると当時としてはかなり豪華な仕様であり、一部のユーザーから強力な支持を得た。
しかし、同年7月にはRioPort Online Music Storeが終了。さらに、AppleのIPodがMP3プレーヤー市場でのシェアを急速に伸ばし、Rioのシェアを急激に低下させた。経営が悪化し2005年7月に米SigmaTel(英語版)に知的財産、および技術資産の一部を売却。同8月にはMP3プレーヤー事業からの撤退をディーアンドエムホールディングスが発表。Rioのブランド権の継承引き受け先のないまま9月末までに販売活動を終了した。
2006年に行われたCESで、SigmaTelが新型チップSTMP3600を搭載したRioブランドの新型プレイヤー「Rio Avalon」、「Rio Cubic」を発表したが、立ち消えとなった。ただし、Avalonについては、デザイン以外ほぼ同等の機種を、2007年にドイツのTrekStor社が、Vibezという名前でリリースしている。
主なRio製品一覧
本文中の 「Rio」 の価格表記は特記事項のない限り、販売当時のメーカー希望価格での表記。
- 第一世代(MP3専用)
初代MPMan F10を開発した韓国のDigitalCast社が開発を担当。
- 第二世代(MP3・MPEG2.5・G.723・ADPCM対応)
このモデルよりRio Port Audio Managerがバンドルされるようになる。
- 第三世代(MP3、WMA対応)
元Sensory Science(旧GoVideo)のRave-MPの開発スタッフが開発を担当。
- Rio One
- Rio riot
2002 International CESで発表。
- Rio Sシリーズ(第四世代)
2002年11月28日に発売を発表。このシリーズ以降のモデルのソフトウェアはすべて元empegのチームが開発する。また、Sigmatelのチップが搭載されるようになった。転送ソフトもRio Music Managerに変更された。
- 第五世代
2003年8月11日にNitrus、Chiba、Karma、Cali、Fuseの発売が発表された。Karmaについては、他のモデルと異なりSigmatelのSoCは使用されておらず、PortalPlayerのPP5003にWolfson WM8721のDACが採用されている。
- 第六世代
2004年8月2日、Carbon、Forgeの発売が発表された。
- Voltシリーズ(CD-R/RW)
- Rio Car
empegのempeg car playerをベースにしたもの。
- Rio Central / Rio Receiver / Rio EX1000
日本のみの製品
Rio Japanでは、他の国ではラインナップされていない海外の低価格プレイヤーを多数販売していた。これが、後にSIGNEOに引き継がれる形となった。
- SU / DRシリーズ
- SIGNシリーズ
- その他
転送ソフト
USBマスストレージクラス(MSC)対応のChiba、Cali、Carbon、Forge、DR/ SUシリーズ、SignシリーズやMTP対応のCarbon、ce2100以外の機種は、曲データの転送に以下のような転送ソフト用いる必要がある。
- Rio Port Audio Manager
- PMP300、500、600、800用の転送ソフトで、Nike psa[play用にはほぼ同等品のNike Audio Managerというソフトが用意された。
- 他社のプレイヤーにも対応しており、コンパックのiPAQ PA-1、サムスン電子のMF64、YP-20、YEPP YP-20、YEPP YP-30、First International Digitalのirock! 500シリーズに対応している。
- Rio Music Manager
- Rio Sシリーズ以降のオリジナルのMP3プレイヤーにバンドルされている専用の転送ソフト。
サポート
株式会社ディーアンドエムホールディングスによるサポート業務は、2005年の撤退後も引き続き継続されている。
脚注・出典
関連項目
- InterTrust社(英語) - デジタル著作権保護技術・MetaTrust Utilityを開発した企業。
- SIGNEO
- SIREN
外部リンク
- Rio公式HP(日本語)
- Rio公式HP(英語)
- SigmaTel




