コプト・エパクト数字(コプト・エパクトすうじ、英語: Coptic Epact Numbers)は、Unicodeの173個目のブロック。
解説
10世紀ごろの、アラビア文字で書かれたコプト語による、会計文書や天文学のテキストなどの一部の写本において用いられた数字体系を収録している。
コプト語では多くの場合コプト文字そのものをそのまま数字として扱ったコプト数字(ギリシャ数字、キリル数字などと同様のシステム)が一般的に使用されていたが、伝統的なコプト数字は10世紀当時コプト語の当時の主要な方言であるボハイラ方言でしか使われておらず、ファイユーム方言ではごく一部のみでしか使われておらず、サイード方言では全く使われていなかったため相互理解が困難であったことから、行政手続きにおいて数字を表現する場合に単語として記述しなければならなかった。単語として記述する煩雑さを解決するため、当時のアラビア文字で書かれたコプト語を用いるコプト・アラビアコミュニティにより、アラビア文字で用いられていた数字(アラビア・インド数字)の筆記体にあたるルミ数字記号をもとにしてこの数字体系が導入された。本数字体系もコプト語コミュニティにおいてはコプト数字に対する筆記体として扱われている。
元々単に「コプト数字(Coptic Numbers)」というブロック名で提案がなされていたが、本来の古典的なコプト数字との区別ができなくなるため、ギリシャ語の ἐπακτός「輸入された」という単語に由来する「エパクト(Epact)」という本数字体系の別名を加えて現在のブロック名となった。
0を表す数字はなく、ローマ数字などのようにそれぞれの位に独立して数字が割り当てられている。1の位、10の位、100の位にそれぞれ単独の数字が9つずつ割り当てられており、1,000以上の数値は数値を1,000倍することを表すダイアクリティカルマークU 102E0 𐋠 COPTIC EPACT THOUSANDS MARKを下に付けることによって表現する。1,000,000以上の数値についてはこの記号を重複して付けることによって表現される。書字方向はラテン文字やコプト文字などと同様に左から右に横書き(左横書き)される。しばしば、数字であることを明示するため、数値全体に蛇行した上線が付けられ、これはUnicode上ではアラビア文字ブロックに存在するU 0605 ARABIC NUMBER MARK ABOVEが用いられる。
当初はルミ数字記号と同一の文字体系ではないかという疑念があり、重複した符号化を懸念して追加に反対の声もあったが、各数字の字形がルミ数字記号とは大きく異なるため、現在は別の文字体系として独立したブロックに符号化されている。
Unicodeのバージョン7.0において初めて追加された。
収録文字
小分類
このブロックの小分類は「記号」(Sign)、「数字」(Digits)、「数値」(Numbers)の3つとなっている。
記号(Sign)
この小分類には他の数字について数値を1000倍するための、文字幅を持たない結合記号1つのみが収録されている。
数字(Digits)
この小分類には基本的な1の位の数字が収録されている。
数値(Numbers)
この小分類には10の位以上の数字が収録されている。Unicode上では1の位の数値を表すdigitと10の位以上の数値を一つの文字であらわしたnumberを区別している。
文字コード
履歴
以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。
出典
関連項目
- ルミ数字記号
- アラビア文字 (Unicodeのブロック)
- コプト文字 (Unicodeのブロック)


