TSC2(tuberous sclerosis complex 2)は、ヒトではTSC2遺伝子によってコードされるタンパク質である。ツベリン(チュベリン、tuberin)としても知られる。
機能
TSC2遺伝子の変異は結節性硬化症の原因となる。TSC2はがん抑制因子であると考えられており、特定のGTPアーゼを刺激することができる。TSC1遺伝子にコードされるTSC1(ハマルチン)は、Hsp90のTSC2に対するシャペロン活性の促進因子として機能し、TSC2のユビキチン化とプロテアソームによる分解を防ぐ。TSC2遺伝子からは、選択的スプライシングによって異なるアイソフォームをコードする複数の転写産物が産生される。TSC2の変異はリンパ脈管筋腫症の原因となる場合がある。この疾患は肺の組織の肥大によって引き起こされ、嚢胞や腫瘍が形成されて呼吸困難が生じる。TSC2はTSC1とともに細胞のサイズを調節するため、TSC1やTSC2の変異によって肺での細胞増殖の制御が阻害される可能性がある。
細胞病理学
TSC2遺伝子の病原性変異を持つ患者の細胞では、リソソームの枯渇、オートファジーの機能不全、グリコーゲンの異常な蓄積が観察される。オートファジー-リソソーム経路の欠陥は、LC3、LAMP1/2タンパク質の過剰なユビキチン化と分解と関係している。
シグナル伝達経路
Tsc2を欠損した結節性硬化症モデルでは、ERK1/2の薬理的阻害によってGSK3βの活性とタンパク質合成レベルが回復する。
オートファジー-リソソーム経路によるグリコーゲン分解の欠陥は、少なくともその一部はmTORC1の調節異常とは無関係であり、PKB/AktとmTORC1の阻害剤を併用することで回復する。
相互作用
TSC2はTSC複合体と呼ばれる多タンパク質複合体内で機能し、この複合体にはコアタンパク質としてTSC2、TSC1、TBC1D7が含まれる。
TSC2は、次に挙げるTSC複合体以外のタンパク質との相互作用も報告されている。
出典
関連文献
関連項目
- TSC複合体
外部リンク
- GeneReviews/NIH/NCBI/UW entry on Tuberous Sclerosis Complex or Bourneville Disease




