ヒトツボクロ属(ヒトツボクロぞく、学名:Tipularia、和名漢字表記:一黒子属)は、ラン科に属する属。

特徴

地生の多年草。地下にある球茎は連珠状に連なり、やや長い葉柄のある葉を1個つける。茎は1本で直立し、総状花序に小型の花がまばらにつく。苞はごく小さい。3萼片と側花弁は同形で幅が狭く、離生して開出する。唇弁は萼片と同長で浅く3裂し、中裂片はとくに隆起せず、長楕円形でその先端は全縁または凹頭となり、側裂片は比べて小型となる。ふつう細長い距があり、下垂する。果実は紡錘形の蒴果となり、下垂する。

分布

ブータン、中国大陸、台湾、インド北東部、ミャンマー、ネパール、朝鮮半島、日本と、離れて北アメリカに分布し、7種知られる。

本稿では、YList では、ヒトツボクロモドキをヒトツボクロの変種として扱っているが、同種を本属の独立した種としているThe Plant List の例によるものとする。

日本に分布する種

  • ヒトツボクロ Tipularia japonica Matsum. - 茎の高さは20-30cm。花は淡黄緑色で紫褐色を帯びる。距の長さは約5mmになる。本州、四国、九州、朝鮮半島南部に分布し、明るい林床に生育する。
  • ヒトツボクロモドキ Tipularia harae (Maek.) S.C.Chen - ヒトツボクロに似るが、距がなく、唇弁が他の花被片と同じ形。九州の長崎県と佐賀県の県境の山に特産し、木陰に生育する。

その他の種

学名および主な分布地

  • Tipularia cunninghamii (King & Prain) S.C.Chen, S.W.Gale & P.J.Cribb - インド(ウッタラーカンド州、シッキム州)、台湾
  • Tipularia discolor (Pursh) Nutt. - 北アメリカ
  • Tipularia josephi Rchb.f. ex Lindl. - ネパールからチベット南東部
  • タイワンヒトツボクロ Tipularia odorata Fukuy. - 台湾
  • Tipularia szechuanica Schltr. - 中国大陸

ギャラリー

脚注

参考文献

  • 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本 I 単子葉類』、1982年、平凡社
  • 北村四郎・村田源・小山鐡夫共著『原色日本植物図鑑 草本編III・単子葉類』、1984年改訂、保育社
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 1』、2015年、平凡社
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  • The Plant List
  • Royal Botanic Gardens, Kew
  • Flora of China



ヒトツボクロ

ヒトツボクロ

ヒトツボクロ

ヒトツボクロ (一つ黒子)

ヒトツボクロ花しらべ花図鑑