鹿児島市交通局1000形電車(かごしましこうつうきょく1000がたでんしゃ)は、2002年に営業運転を開始した鹿児島市交通局(鹿児島市電)の路面電車である。愛称はユートラム

概要

アルナ工機および同社から事業を継承したアルナ車両の設計・製造による、日本初の国産超低床路面電車である。

車両概説

アルナ工機で「リトルダンサーA3」と発表されていた形式で、客室車体(C車体)を運転室車体(A・B車体)の間にフローティングした3車体連接構造である。台車は車端に寄せられたうえ、運転室車体に固定されており、独自に回転しない固定構造となっている。行先表示器はLED式を採用している。

なお、車体は連接構造であるが登録上は3車体で1両である。

車内

片持ち式ロングシートとなっており、うち2カ所を折り畳み式座席として車椅子スペースを確保できるようにしている。また、液晶テレビもとりつけられており、広告映像などを放映している。

主幹制御器は右手操作式ワンハンドルマスコンである。

機器

パンタグラフは、9700形で採用したシングルアーム形が1基、C車体に搭載されている。制御装置は2140形以来のVVVFインバータ制御となり、素子は従来のGTOサイリスタに代わってIGBTを鹿児島市交通局の車両としては初めて採用した。通常は床下に搭載される制御機器などは、C車体が超低床構造になっていることから、屋根上に搭載されている。

歴史

2001年12月9日、谷山港に1両が到着した。翌2002年1月15日から運行を開始する。2003年には、鹿児島市交通局の車両初の鉄道友の会ローレル賞を受賞した。2004年には定員を1次車の55人から58人に増やした増備車(2次車)の 1014F - 1016F が登場した。

3次車の 1017F - 1019F が2005年に登場した。車内混雑への対策のため乗車ドアを1m車体中央に寄せる改良がされている。

2007年からは、5車体連接車の7000形電車が登場したため、当形式の投入は終了した。

なお2010年からは、1015に初の全面広告車も登場している。

年表

  • 2002年1月15日 - 運行開始。

運用

7000形・7500形電車と共に固定運用となっており、各停留所の時刻表に表記されているほか、ホームページでも確認することができる。2014年4月22日に1014がバスと接触・脱線する事故が発生し、修繕のため運用から外れていたが、現在は運用に復帰している。2018年6月26日から7月18日まで100形電車の代走として観光電車の運用に就いた。

愛称について

愛称のユートラムは、優トラム・悠トラム・遊トラム・友トラム・YOUトラムからとったものであり、一般公募で選出されたものである。

脚注

注釈

出典

参考文献

  • 市田利廣(鹿児島市交通局電車事業課車両係長); 田島辰哉(アルナ工機株式会社車両事業部尼崎工場設計課長) (2002-04-01). “国産初の超低床路面電車 鹿児島市交通局1000形”. 鉄道ジャーナル2002年4月号 (鉄道ジャーナル社) 36 (4). 
  • 寺田裕一「路面電車40年の軌跡を訪ねて 鹿児島市交通局2」『鉄道ファン (雑誌)』第63巻第7号、交友社、2023年、110頁。 

外部リンク

  • 路面電車の紹介 - 鹿児島市交通局

鹿児島市交通局100形(かごでん・鹿児島駅前) YASUBEE's鉄道写真ギャラリー

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