木下 拓哉(きのした たくや、1991年12月18日 - )は、高知県高知市出身のプロ野球選手(捕手)。右投右打。中日ドラゴンズ所属。
経歴
プロ入り前
私立高知高校では2年春から正捕手の座を掴み、2年の夏に第90回全国高等学校野球選手権記念大会、3年の夏に第91回全国高等学校野球選手権大会に出場した。2年の夏の甲子園は、キャッチャーになりたてで、大会までに仕上がるかの不安が大きく必死だったので、試合自体の印象は残っていない、と木下が語っている。3年の夏の甲子園は、初戦が2試合連続で雨のためノーゲームとなった。2試合目には本塁打を打ったが、ノーゲームとなったため記録に残らなかった。野球部の同期には公文克彦がいた。
法政大学に進学すると、3年秋に東京六大学リーグベストナインに選出された。大学では1学年先輩の三嶋一輝、1学年後輩の石田健大とバッテリーを組んだ。リーグ通算で47試合に出場し、121打数23安打、打率.190、2本塁打、14打点を記録した。
トヨタ自動車では1年目から正捕手となり、日本選手権優勝に貢献した。
2015年のプロ野球ドラフト会議では、中日ドラゴンズから3位指名を受け、12月4日に契約金6500万円、年俸1000万円で契約した(金額は推定)。背番号は35。
中日時代
2016年は、8月7日の対横浜DeNAベイスターズ戦(横浜スタジアム)で初の先発出場を果たし、初本塁打を記録した。しかし、一軍の捕手は杉山翔大と桂依央利でほぼ固定されており、僅か9試合の出場にとどまった。
2017年は、6月17日の対埼玉西武ライオンズ戦(バンテリンドームナゴヤ)で先制犠飛、適時二塁打を放ち、初のお立ち台に上がった。この年は前年より出場機会が増え、51試合に出場した。
2018年は、自身の故障に加え、松井雅人や、北海道日本ハムファイターズからFAで加入した大野奨太が起用されたため、16試合の出場にとどまった。
2019年は、開幕一軍スタートとなったが、シーズン中に左膝を故障し、離脱した。その間に正捕手には加藤匠馬が起用され、最終的に39試合の出場に終わった。
2020年は、前年に続き開幕一軍を掴んだ。開幕スタメンこそ加藤に譲ったものの、シーズン後半から出場機会を増やし、終盤にはレギュラーとして定着した。10月23日からの東京ヤクルトスワローズ三連戦(明治神宮野球場)では、2度お立ち台に立った。最終成績は、88試合の出場で打率.267、6本塁打、32打点で、守備面では両リーグトップとなる盗塁阻止率.455を記録し、3度の月間最優秀バッテリー賞および年間最優秀バッテリー賞を受賞するなど、攻守において活躍した。
2021年は、開幕から正捕手を担い、自己最多の123試合に出場。規定打席には届かなかったものの、打率.270、チーム日本人最多の11本塁打、43打点を記録。守備でも12球団トップのチーム防御率3.22を記録した投手陣を引っ張った。
2022年は、7月6日に同年のオールスターゲームのメンバーに、ファン投票で選出されたことが発表された。この年はチームは6年ぶりの最下位で終わったものの自身初の規定打席到達を果たし、中日の捕手が規定打席に到達するのは2012年の谷繁元信以来10年ぶりとなった。また、この年のシーズンでは両リーグ通じて唯一の捕手の規定打席到達者だった。11月27日には2000万円アップの推定年俸6800万円で2023年シーズンの契約を更改した。
2023年も正捕手として開幕から出場を続け、交流戦期間中には7試合連続安打を記録するなど調子を上げていたが、6月14日の千葉ロッテマリーンズ戦(バンテリンドーム)で守りの際に右手甲にボールが直撃し、右大菱形骨骨折と診断され、翌15日に登録抹消となった。8月中旬に一軍復帰し、最終的に89試合出場、打率.237、5本塁打、26打点の成績を残すも、いずれも前年の数値を下回る結果となった。オフの11月28日の契約更改では、球団が提示した複数年契約を断り、現状維持の単年6800万円(金額は推定)でサインした。
2024年は74試合に出場し、打率.228、3本塁打、9打点を記録。11月11日に同年中に取得した国内フリーエージェント権の行使を表明したが、11月26日に200万円増となる推定年俸7000万円の2年契約で残留することが発表された。
選手としての特徴・人物
遠投120mの強肩で、打力も強い。また、フレーミング技術に定評がある。捕球から二塁到達までのタイムは1.83秒を記録している。
愛称は木村拓哉の「キムタク」をもじった「キノタク」。または「ゴリけん(お笑い芸人のゴリけんと顔が似ていることから)」。
明るい性格でムードメーカーであり、ヒーローインタビューではたびたびファンやチームメイトを湧かせている。
2021年4月27日の阪神タイガース戦(バンテリンドームナゴヤ)同点で迎えた7回裏一死一・二塁の場面で自身が決勝点となる左前適時打を放ってチームは勝利。試合後には右肩の故障で離脱していた同姓のチームメイト・木下雄介にエールを込める意味で、木下雄の顔がプリントされたTシャツを着用してお立ち台に上がった。しかし、同年8月に木下雄が急逝。以降は自身のキャッチャーミットに、これからも彼と共に戦い続けるという思いで「雄介」と記している。また、2022年から使用するミットには親指部分に自身のロゴマークとその背景に木下雄の背番号「98」を刺繍している。木下姓の選手は自身1人になったが、同年オフの契約更改で「引退するまで変えるつもりはないです。簡単な言葉では言い表せないけど、雄介の分までという気持ちです」と語り、翌年以降もスコアボードの表記を従来通り「木下拓」で貫くことを示唆した。
ミットやバット、キャッチャー防具など野球用具はミズノ製品を使用。2022年からはミズノとブランドアンバサダー契約を結んでいる。
詳細情報
年度別打撃成績
- 2024年度シーズン終了時
年度別守備成績
- 2024年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
表彰
- 最優秀バッテリー賞:2回(2020年 投手:大野雄大、2021年 投手:柳裕也)
- 月間最優秀バッテリー賞:8回
- 2020年8月、10月、2022年9月 投手:大野雄大
- 2020年9月 投手:祖父江大輔
- 2021年3・4月、5月、8月 投手:柳裕也
- 2022年8月 投手:髙橋宏斗
記録
- 初記録
- 初出場:2016年8月3日、対読売ジャイアンツ14回戦(ナゴヤドーム)、6回表に杉山翔大に代わり捕手で出場
- 初打席:同上、6回裏に田口麗斗から空振り三振
- 初先発出場:2016年8月7日、対横浜DeNAベイスターズ20回戦(横浜スタジアム)、「8番・捕手」で先発出場
- 初安打・初本塁打・初打点:同上、3回表に今永昇太から左越ソロ
- 初盗塁:2021年5月8日、対広島東洋カープ7回戦(バンテリンドーム ナゴヤ)、6回裏に二盗(投手:九里亜蓮、捕手:坂倉将吾)
- その他の記録
- オールスターゲーム出場:2回(2021年、2022年)
背番号
- 35(2016年 - )
登場曲
- 「Roar」Katy Perry(2017年)
- 「GOOD TIME」Owl City & Carly Rae Jepsen(2018年)
- 「POWER」Little Mix(2019年)
- 「ECHO」Little Glee Monster(2020年)
- 「熱ク」lecca(2022年)
- 「ZONE」遥海(2022年)
- 「Get in Trouble (So What)」Dimitri Vegas & Like Mike(2023年)
- 「ひろがるスカイ!プリキュア 〜Hero Girls〜」石井あみ(2023年)
代表歴
- 第27回 BFA アジア選手権日本代表
脚注
注釈
出典
参考文献
- ベースボール・マガジン社 編『ベースボール・レコード・ブック』 2022日本プロ野球記録年鑑、ベースボール・マガジン社、2021年、52頁。ISBN 978-4-583-11429-3。
- ベースボール・マガジン社 編『ベースボール・レコード・ブック』 2023日本プロ野球記録年鑑、ベースボール・マガジン社、2022年、296頁。ISBN 978-4-583-11546-7。
- ベースボール・マガジン社 編『ベースボール・レコード・ブック』 2024日本プロ野球記録年鑑、ベースボール・マガジン社、2023年、52頁。ISBN 978-4-583-11651-8。
- ベースボール・マガジン社 編『週刊ベースボール別冊新春号』 2024プロ野球総決算号、ベースボール・マガジン社、2024年12月17日、81頁。ASIN B00OR75QSS97。
関連項目
- 高知県出身の人物一覧
- 法政大学の人物一覧
- 中日ドラゴンズの選手一覧
外部リンク
- 個人年度別成績 木下拓哉 - NPB.jp 日本野球機構
- 選手の各国通算成績 Baseball-Reference (Japan)、The Baseball Cube
- 選手名鑑 - 中日ドラゴンズ公式サイト
- 選手情報 - 週刊ベースボールONLINE



